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事後救済が困難な理由
インターネットオークションで詐欺に遭う人の傾向を見ていると、大多数の人に共通していることは「相手の身元を十分に確認しないままお金を先に振り込んでしまっている」という点です。そして、「騙された!」と気づいて初めて相手の身元が嘘だったと気づいています。いったん詐欺師にお金を騙し取られてしまったら、被害者が自力で被害を回復することはほぼ不可能と言ってもよいでしょう。その理由は匿名性にあります。これはなにも、詐欺師がフリーメールや無料プロバイダを使用している場合だけでなく、普通に自分のプロバイダを使って詐欺をはたらいていたとしても同じことです。メールアドレスやIPアドレスから契約者が特定できるのは、あくまでそのプロバイダだけであって、被害者がいくらお願いしても、プロバイダが裁判官の発する令状なくして会員情報を開示することはないからです。ところがその警察はどうかというと、1件あたりの被害が小額で、被害者が全国に点在するネット詐欺は被害の深刻さを把握し難く、捜査に及ぶケースはごくまれです。相手がわからない限り、民事的に解決することは不可能です。例え運良く相手の身元が判明したとしても、オークションのようなCtoC型の取引となると、売る方も買う方も同じ消費者同士ですから対等の関係です。従来の事業者と消費者間の通信販売(BtoC)などとは違って、消費者を保護する組織も法律もありません。そのために債務不履行型のトラブルが急増しているようです。
逮捕されてもお金は戻らない
詐欺師が逮捕されたら騙されたお金が返ってくるか?と言えば答えはノーです。「なんで?」って思いますよね。しかし警察の仕事というのは、あくまで犯罪者を逮捕して検察に引き渡すことであって、被害者に対する損害補償までは面倒見てくれません。そういうことは民事の問題なので、被害者が直接交渉すべきことなのです。これは一般的に、加害者側の弁護士との示談交渉というかたちで行われます。しかしここでもまたひとつ問題があります。)実は被害金額の全額が戻って来ることはほとんどないのです。何故ならば、短期間で多数の被害者を生み出すネット詐欺では、逮捕された加害者にはすべての代金を弁済する資力が残っていないからです。過去の事例では、騙し取られた代金の10%程度の弁済で示談に応じて欲しいとの提示が弁護士からありました。このケース、実は犯人は詐欺で有罪の判決を受けて執行猶予中の身でありながら、まったく懲りずに再犯を犯していました。初犯の被害者には親兄弟が私財を投げ打って弁済したようですが、今回はさすがに親兄弟もお金の工面がつかず、精一杯の提示額が10%だったようです。しかし当の犯人は騙し取ったお金で豪遊して、すべて使い切ってしまっていたそうな。なんかむかつきますね。
こうした状況での被害者の選択肢としては、
1.示談に応じて10%を返してもらう代わりに告訴を取り下げる
2.お金のことはあきらめてでも、相手の刑事責任を徹底追求する
この二つに一つです。仮に被害者全員が示談に応じて告訴を取り下げれば、被疑者は起訴猶予になり無罪放免される可能性があります。もちろん起訴されることもありますよ。しかし、刑事裁判を行ったとしても、被害者全員と示談が完了しているような場合には、情状に大きく影響し、極めて刑が軽くなるでしょうね。初犯ならば執行猶予もついて、すぐに釈放です。とは言え、被疑者が例え懲役10年の実刑になろうとも、示談に応じなかった場合には、今度は被害金額をまったく取り戻せなくなる可能性があります。果たして被害者の心情としてはどちらを選択するでしょうね。ん?ナニナニ?補償制度があるから大丈夫だって?
補償制度を過信してはダメ
オークションの補償制度もあてにしてはいけません。例えばヤフーオークションのセーフティ補償では、補償を受けるためには警察の被害届受理番号が必要とされています。しかしすぐには詐欺事件とは判断してくれませんし、すでに捜査中の案件については改めて被害届を受理してもらえないケースもあります。だからといって正直に「補償を受けるためには警察の被害届受理番号が必要なんです」と言うと、「被害届というのは補償を受けるために受理するもんじゃない」と一喝されるのが落ちです。事実そう言われちゃった被害者がいますから。しかも1つの出品について補償される金額には上限(ヤフーでは50万円)が設けられている事が多く、被害者が複数いる場合には全員で折半になることがあります。被害者が50人いれば一人当たり1万円しか補償されません。また、補償の適用は1年に1回までとの制限があるところがありますので、あまり補償制度をあてにしないようにしましょう。
もう被害者としては踏んだり蹴ったりですね。
「あーもうなんでお金を振り込む前に電話を一本かけてみなかったんだろう」「代金引換にしとけば良かった」「エスクローサービスを利用しておくべきだったな」などと考えても、全ては後の祭りです。被害の事後回復が困難な個人間取引では、「いかに騙されないようにするか!」ということが最も大事なのことだとを肝に銘じておいて下さいね。誰も助けてはくれないのです。
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